暑い季節から一気に冷えて冬になりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
SUPなどのウォータースポーツは夏のイメージがあると思いますが、私は冬もSUPに絶好の季節だと考えています。
その理由について、この記事でまとめたので、「寒いのは嫌だ」なんて言わずに、冬SUPにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
冬SUPとは
冬に行うSUPを冬SUPと呼んでいますが、同じ日本でも季節の変わり目にはズレがあるので、一般的な冬SUPについて、どういったものなのかを前提として示しておきます。
10~11月(晩秋~初冬)
通常水温は1~2か月遅れて変わるので、冬になって最初の方は意外とまだ水温も高いです。
ただし、風がよく吹き始めるため、水面が荒れやすかったり、気化熱で体温を奪われることもあるので注意が必要です。
逆に風がなく晴れていればダラダラと汗をかくほどに暑いので、夏と変わらないときもあります。
この時期は生き物の活性が高くなってくるので、魚が飛び跳ねる姿をよく見かけたり、SUPに飛び込んできたりする程です。
普段のSUPでも十分に自然との一体感を味わえますが、どうしても生き物たちは警戒して遠ざかってしまいます。晩秋~初冬はそういった生き物たちとの距離感も近くなり、より自然が近いものに感じることができます。
12~1月(年末年始)
本州であれば最低気温が5℃を下回ってくるのがこのあたりです。
この時期から水温も下がり始めるので、ウエットスーツやドライスーツなどの濡れてもよい防寒着を用意しなければなりません。
ただ、落ちずに漕ぎ続けられれば汗だくになるほど暑いので、帰って来る頃には上半身をはだけている人も見かけます。
この時期はなんと言っても年末年始の長期休暇をりようしてSUP三昧ができるので、しっかり練習したい人には最適のシーズンだと思います。お金がある人は、沖縄やハワイなどの暖かいところで旅行兼合宿をするのもおすすめです。
そして年末年始といえば、盆暮れと正月です。乗り納めや乗り始め、初日の出をSUPから眺めるなんていう超のつくような非日常を味わえるのもこの時期ならではと思えば、SUP好きとして休んでいられません。
2~3月(晩冬)
徐々に春先を意識し始める時期がやってきました。
とはいえ2月はまだまだ極寒で、3月も水温は下がりきっているので、もし暖かい日であっても油断はなりません。
もちろん、ただ寒いだけでなくお楽しみもあります。3月も中旬を過ぎると、徐々に春めいてくるので、例えば梅や桜などで景色が華やかになってきます。都会であれば川沿いに桜が植樹されているところも多いですし、田舎では山桜などが陸地を彩ります。多くの人々が陸で狭々しく花見をしているなか、誰もいない水面から悠々自適に花見ができるのはSUPの特権でしょう。
冬SUPをおすすめする3つの理由
- フィールドを独り占めできる
- 見違えるほど上達できる
- 冬にしかない非日常を味わえる
フィールドを独り占めできる
ウォータースポーツのハイシーズンは紛れもなく夏です。
海水浴もカヤックもサーフィンもジェットスキーも、全て夏が最も人口が多く冬はガチ勢しかやっていません。
そして夏に海水浴場などで張られているサメ除けネットは冬にはなくなり、水面の利用区画も冬の方が自由に使えるところが多いと思います。
ガチ勢が多いよっぽどの人気スポットであれば冬でも水面の利用が制限されているかもしれませんが、ほぼほぼの場所では自分ひとりもしくは数人程度の利用者しかおらず、フィールドを独り占めできます。
そうなると周りの目を気にしたり、侵入禁止エリアに入って怒られたりすることもなくなるので、本当の意味で自由に、そして思い通りに乗ることができる環境が冬SUPには用意されています。
見違えるほど上達できる
上記のとおり自由に乗ることができるということは、つまり練習し放題ということです。
そして、冬は夏よりも風が吹きやすく、水面が荒れやすいので、夏の凪いだ水面より効率的にスキルアップできます。(そのぶん初めのうちはしんどいのですが…)
サーフィンでも『冬を越すと一皮むける』などと言うように、SUPにおいても冬の間乗り続けると見違えるほど上達できるはずです。
そもそも冬に乗らないと、半年ものブランクができるので、来年の夏にはまた初心者に逆戻りしてしまうかもしれません。半年のブランクがある人と、1年を通して乗りこんでいる人。相対的に見ると倍以上の差が開くのかもしれません。
この記事を読んでいる方は、SUPにハマっている方やどんどん上達したいというガチ勢寄りの方だと思うので、一番練習になる冬に乗らない手はないと思います。
冬にしかない非日常を味わえる
冬は気温の低下とともに空気が澄み渡ってきます。冷たい空気を肺に入れた時の冴え渡るような感覚が好きな方も多いのではないでしょうか。
空気と同様に水も、水温の低下とともに澄み渡ってきます。浅瀬なら底がはっきりと見える程になるので、とても気持ちの良いものです。
また、雪や初日の出、冬に訪れる渡り鳥など、夏にはない冬だけの世界があるので、これを見られるだけでも価値があると思います。
登山では『未踏の雪山に行くと人生観が変わる』などと言ったりしますが、冬SUPも同じような感動を味わえるかもしれません。
そいった冬SUPだけの非日常感の最たるものの一つが流氷クルーズです。
海外のインスタを見ると実際にやっている方もいるため、できることならオホーツク海などでやってみたいですね。(一人だと死ぬかもしれないのでやめましょう)
冬SUPの『かもしれない運転』
ここまで、私が冬SUPをおすすめする理由を示してきましたが、当然、冬ならではのリスクもあります。
その中でも、特にこれはというものについてまとめますので、併せて御覧ください。
- 風や波で流されるかもしれない
- 低体温症になるかもしれない
- 日が暮れるかもしれない
風や波で流されるかもしれない
日本の冬は気圧配置が西高東低となり、西風が吹きやすくなるため、夏に比べて凪ぎが少なく、また波も立ちやすい傾向があります。
風や波で流される『漂流』自体は冬に限ったことではありませんが、冬の気象条件では流される状況になりやすいので、注意しましょう。
特に長距離走や沖に出る場合は、風向きや強さによっては帰還困難となるため、時間ごとの風予報の把握や自身の力量ではどの程度まで大丈夫かなど、安全マージンをしっかり取って無理のない練習計画をたてましょう。
水面を見て怖いと感じたら、自身のスキルをオーバーしているのかもしれません。あらかじめどの程度なら中止するかも考慮しておきましょう。
冬は水面を独り占めできるかわりに助けを呼びにくい状況なので、安全第一が賢明です。
低体温症になるかもしれない
冬の水は冷たいですが、サーファーが長時間浸かっていられるように、それだけでは大したことにはなりません。
もちろんウエットスーツやドライスーツなどの防寒装備は必須ですが、SUPもそのように装備さえしっかりしておけば良いと思っていませんか?
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SUPとサーフィンの一番の違いは、『体に風を受け続ける』かどうかということです。
サーフィンは波に乗っている短時間だけ風をうけますが、SUPは基本的にずっと風を受けています。
もちろん水に触れているだけでも体温を奪われてしまいますが、もっと深刻なのは濡れた体を風にさらすこと。この状態になると気化熱で体温をどんどん奪われるので、あっという間に低体温症に陥ってしまします。
低体温症と聞いて『ただガチガチと震えるだけ』だと思っていたら大間違いで、その後錯乱し意識を失ったり、死亡してしまうこともあります。
そうならないためには、常に漕いで熱生産を継続することが一番ですが、空腹や疲労でそれも難しくなるとあっという間に発症してしまうことがあります。
冬SUPは基本的に漕ぎきれる範囲で乗り、万が一震え(シバリング)が起きていると感じたら、思い切って中止し、風の遮れるところで暖かい飲み物などを取りましょう。
低体温症の事故事例については、『トムラウシ山遭難事故』が有名ですが、一度読んでおくと危険度が良く分かると思います。
トムラウシ山遭難事故(wikipedia):https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B7%E5%B1%B1%E9%81%AD%E9%9B%A3%E4%BA%8B%E6%95%85#%E5%A4%96%E9%83%A8%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF
日が暮れるかもしれない
風も波も無い絶好のSUP日和。装備もきっちりして低体温症への備えは万端。そんなときに意外と忘れてしまいがちなのが『日没』についてです。
知ってのとおり、夏の終わりからどんどん日が短くなってきます。そんな当たり前のことが、SUPに乗る高揚感などにより認知から欠落していることがありますので注意しましょう。
夏場19時前でも薄明るかったものが、真冬は16時くらいには暗くなってきて、17時には真っ暗闇なので、『15時くらいには陸の近くまで帰ってくる』『薄暗くなってきたら陸に上がる』などのルールを定めておくと良いと思います。
特に冬は、薄暗くなってから真っ暗闇になるまでの時間が短いので、それを考慮しておきましょう。
また、薄暗くなると往来する船に轢かれる危険性もあります。
あと単純に暗くなってからは片付けが大変なので、まだ明るいうちに片づけに着手できるようなスケジュールで動いた方が良いかもしれませんね。
おわりに
冬SUPの魅力はどうでしたか?
そもそも冬にSUPに乗ろうと考えている方は、かなりハマっているかただと思うので、魅力をお伝えするまでもなかったかもしれません。
あまり事故が増えると規制も増えてしまうので、手軽に自由に乗れるSUPの良さを守るためにも、皆様それぞれの安全第一のもと、楽しいSUPライフエンジョイしてください。
私も今年の冬はしっかり乗りこんで、来年のレースなどでいい成績を残したいと思います。