早12月。SUPジャパンカップも終わり、本格的にシーズンが終了した感じがするこの頃、皆様のSUPライフはいかがお過ごしですか?
以前の記事『寒いから何だ!冬SUPをおすすめする3つの理由』にて、上達のためには冬SUPが効果的とお伝えしましたが、とはいえ、初級者にはどうしたらいいのかわからないのが辛いところ。
もちろん、ただがむしゃらに漕ぐだけでも最初は上達しますが、どうせならちゃんとした漕ぎ方=パドルストロークを知りたいと思いうのが人情というものでしょう。
様々なサイトや動画でストロークの解説を見ることができますが、どうも感覚的な要素が大きく、人(サイト)によって言うことがバラバラで、どれを参考にしてもしっくりこなかったりします。(私もそうです)
トップ選手などを見ても、人によってストロークが違うので、体格や柔軟性、体重、手足の長さなどによっても違ってくるのではないかと考えていますが、この度、youtubeにて分かりやすい動画を見つけたので、取り上げてご紹介しようと思います。(字幕ボタンから翻訳すれば誰でも理解できると思います)
パワフルストローク1『プッシュ』
この動画の最初に紹介されているストロークが『プッシュ』です。
トップハンドを曲げて→押すことで、アンダーハンドを支点とした『てこの原理』を利用してパワフルなストロークをすることができます。
やってみるとわかりますが、水という液体をブレードが押す訳ですから、トップハンドにはかなりの重さがかかり、結構すぐにバテてしまうと思います。
このストロークの良い点は、ほぼトップハンドのみの動作なので、体勢を崩すことなく素早く漕げる点でしょう。
また、例えば荒れた水面で腰を落とした状態でもダッシュできる点も良いですね。
動画内でも、ダウンウィンドの加速が例に挙げられていますし、恐らくスタートなどのダッシュ系もこれに近い動きだと思います。
このストロークは、ほぼトップハンドの上腕三頭筋や三角筋前部、大胸筋のみという小さい筋群の動員ばかりで、疲労しやすく長時間使えないことが欠点でしょう。
それと、素早く漕げる分、キャッチの難易度がとても高いことも欠点です。ある程度習熟しないと、疲れるだけで前に進まないダッシュもどきになりそうですね。
パワフルストローク2『ツイスト』
この動画の2番目に紹介されているストロークが『ツイスト』です。
言葉のとおり、体を捻る(ツイスト)ことで、上半身が半身になり、アンダーハンドの肩がより前方に入りこむことで、長いストロークをすることができます。
このストロークは、捻った体幹部が自然と戻ろうとする動きを利用できることや、1ストロークが長い分ピッチが落ち心拍が保ちやすくなることから、長距離を巡行する際に適しています。
利点としては、上記のものと、広背筋下部を中心に大きな筋肉を動員できることで、レースの中で一番ストローク数の多い巡行を省力化できることでしょう。
恐らく、ダニー・チンの両肩が極端に斜めになるフォームは、このツイストを突き詰めたものだと思われますが、下記の欠点により、ダニー・チンと同レベルでツイストできる選手はいないようです。ちなみにダニー・チンは、年齢的にはピークを過ぎてそうにも関わらず、先日のカロライナカップ(カロライナカップ終結!日本選手大健闘!)のディスタンスレースで圧勝しています。
このフォームの欠点としては、強く捻る程両足への均等な荷重が難しく、バランスを崩しやすいことと、捻ってアンダーハンドの肩が前になる分トップハンドの肩は後ろになるので、トップハンド自体を前に出し難く、体重をかけ辛いといったところでしょうか。
つまりツイストは、有効だが難易度が高いということで、かなりの訓練を要するのでしょう。
多くの選手を見ても、極端なツイストはせず、両足への均等な荷重が崩れない範囲で収まっています。
私のように下手だと、ツイストに合わせて体軸が曲がりパワーロスしてしまうので、やりたい方はとにかく練習あるのみでしょう。ちなみに荒れた水面ほど難しくなります。
パワフルストローク3『リーン』
この動画の最後に紹介されているストロークが『リーン』です。
『リーン』とは『傾ける』とか『もたれる』といった意味で、トップハンドへ体ごともたれかかるストロークのことです。
日本で一般的によく言われる『パドルに体重をかける』に、一番近いストロークだと思います。
このストロークでは、上体が前に『つんのめる』ような感じできつい前傾姿勢になります。そのままでは前にコケてしまうので、お尻を引いてバランスを取ったあと、骨盤を前方にスライドしながら起き上がります。
そのため、正確なキャッチができればかなり体重をかけられるので、キャッチ直後の加速が良く、また、素早く上体を起こす必要があるので、ピッチが速くなりやすいのが特徴です。
このストロークの利点としては、やはり体重を効果的に使えることと、デッドリフトのような動作でハムストリングと大殿筋というかなり大きな筋肉を動員できる点でしょう。また、前後への重心移動なので、両足への加重が崩れずに、バランスを保ちやすい点も良いところです。
ハワイのコナー・バクスターのストロークが、極端にリーンを使用したもので、高い身長と長い手足を生かしてとても効果的に加速を得ています。ちなみに、コナー・バクスターは先日のカロライナカップで総合優勝しています。
このストロークの欠点としては、効果的に体重をかけるために前傾を維持する腸腰筋の発達が必要な点と、起き上がる際に腰方形筋を酷使するので、腰を痛めやすい点でしょうか。
なお、膝を曲げながらパドルを刺すことで、あまり前傾せずに体重をかけることができますが、タイミングがずれると推進力が膝で逃げるので、注意しましょう。
まとめ
ここで上げたパワフルストロークは、それぞれが個別に機能するものではなく、それぞれの要素を複合して使用するものだと思います。
例えば、ちょっとツイストして前方でキャッチし、リーンを使って体重を乗せるなどです。
体格や手足の長さ、柔軟性などによっても相性があると思うので、気になる人は色々試してみましょう。
ちなみに、特にリーンでは、普段の生活であまり使わない腰方形筋を酷使するので、最初のうちは腰を怪我したと思うほど、寝返りをうてないくらいに痛くなりますが、しばらく続けていると筋肉が発達していたみ難くなるので、無理せず気長に取り組むのが吉です。(私もリーンに取り組みだしてから2か月程は乗るたびに激しい筋肉痛でしたが、最近は起こらなくなってきました)
また、それぞれのストロークで動員する筋肉群が違うということを考慮すれば、長距離レースの途中で意図的にストロークを切り替えて疲労を抑えることもできるかもしれませんね。
何にせよ理屈が分かってから練習すれば必ず上達しますので、ツーリングのため、レースのため、サーフィンのため、有意義で素敵なSUPライフのために、地道に練習を重ねていきましょう。