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バランス系のトレーニング器具はSUPトレーニングとして有効でない?

先日、SUP女子トッププロのエイプリル・ジルグが、インスタでこのような投稿をしていました。

SUPに関するよくある質問に、改めて答えるとした上で、SUPにおけるバランスボールやバランスボード、スラックラインなどのバランス系トレーニング器具の有効性に触れています。

内容としては概ね次の通り。

  • バランス系トレーニング器具は自身のバランスに応じて不安定になる
  • つまり内的なバランス力を鍛えるもの
  • SUPは水面の変化という外的な要因に対してバランスを取る必要がある
  • 内的なバランスを鍛えても荒れる海にあわせてバランスを取りながらパドリングすることはできない
  • SUPに必要なバランス能力を鍛えられるのはSUPに乗ることだけ

こうみると、確かにそうかもしれません。

つまり、スケートボードやスノーボードなどの滑走面がある程度一定な競技なら多少は活かせそうですが、サーフィンやSUPなどの刻一刻と変化する外的要因に対応しなければならない競技では、その恩恵が低そうだということです。

ただ、アマチュアの社会人パドラーにとっては、頻繁にSUPに乗ることができないので、なんとか家でできるトレーニングはないかと探した末のバランスボールだったりします。プロ選手に全否定されると得も言われぬ虚無感が襲ってきますね。今までのトレーニングは無駄だったのかなぁって。

しかし、競技の世界では往々にして、スキルレベルが違いすぎる人のアドバイスは役に立たない、という現象が起こります。

役に立たないとは、プロが見ている感じているものと、アマチュアのそれが違いすぎて参考にならないという意味です。

私も実際にバランスボードを購入しに乗っているのですが、初心者の立場だからこそ有効性が実感できたことがあるので、今回はその経験をシェアしておこうと思います。

バランス系トレーニングはSUPの何に役立つか

ボード系スポーツの経験がある方なら、不安定なボードの上でどのように体を動かせば良いかが感覚的に分かるのかもしれませんが、私のようにそうした経験がない人にとっては、バランスボードに乗ることでさえ一苦労です。

しかしある程度乗っていると、ここまでなら耐えられるという重心のずれの限界みたいなところが見えてきます。そしてトレーニングを続けているとそれがより広がってくる。この前は耐えられなかった位置でも落ちることなく戻れるようになる。

なぜそうなるのかと考えると、重心の置き場所が分かってきているからではないかと。SUPだと毎回不安定さが違うので、再現性がありませんが、バランスボードだと同じシチュエーションを短時間で反復練習することができる。これが効いているのだと思います。

つまり、重心をずらす感覚を養える。

で、それがなんだと。結局SUPのどこに役に立つのかといと、レールワークです。私の経験では、バランスボードで練習することで、明らかにレールワークが上達しました。なんせレールワークはわざと左右にバランスを崩すことで片方のレールを沈めボードを操る技術なので、バランスボードで左右に重心をずらした状態をキープすることと、非常に似ています。

もちろん、前述のとおり、ボード系スポーツの経験がある人はボードを傾けてレールを使う感覚が分かるでしょう。特にサーフィンやスノーボードなどはレールをめちゃくちゃ使いますしね。つまりある程度の経験者にはあまり効果がないかもしれない。

それが私のような初心者は、ただただSUPを水平に保つことでバランスを取ろうとし、わざとバランスを崩すようなことがそもそもできません。これでは水面の変化に対応できないし、ボードコントールが下手なまま。ボードを水平に保つ以外の方法でバランスが取れることは、SUPにとって非常に大きなメリットだと感じました。

まあ、レールワークの練習はSUPに乗ってやれば良いとも思うのですが、日常の中の限られた時間でSUPに乗るので、できればSUPに乗れるときはパドリングを中心に練習をしたいところ。そこで家トレでバランスボードを使えばレールワークの基礎となる重心の使い方を学べるのではないでしょうか。

つまりバランス系トレーニングは、初心者ほど役に立つと言いたい。

また、以前レースに出た際に、横波でかなりボードが半分ひっくり返ったところから立て直せたことがあったのですが、そのときの体幹の負荷はバランスボードに似ていました。驚いたのは、踏ん張った左足首を捻挫していたこと。自身の限界を超えてバランスを取ろうとしたということでしょう。

実際に使っているバランスボード紹介

私が使っているバランスボードはこちら↓

ポールの上にフリーの板を乗せたシンプルなタイプ。

これのいいところは、下2つのタイプと違って、肩幅以上に足を開けば体の中心よりもかなり遠くに重心をずらすことができる点です。簡単に言えばとことんまでバランスを崩すことができる。

ただ乗るだけでは、数日やれば慣れるので、その後はスクワットやアンクルタッチで難易度を上げるのが良いですね。

ただしバランス系トレーニングより優先すべきものはある

ちょっとニュアンスが違うのは、SUPに乗ること自体のバランス力を鍛えるなら、スクワットで下半身を強化した方が手っ取り早いと考えていることです。

SUPの不安定さはボードの幅に対して重心が高すぎることによるので、極論、深いしゃがみ姿勢を維持できれば座っているときのような安定感を得られます。であれば、長時間ハーフスクワット以上の深さを維持できる下半身があれば、ボードがひっくりかえらない限り大丈夫でしょう。力こそパワーであり、かつ、力こそバランスです。

まとめると、バランス系トレーニングは初心者にこそ効果的だけど、もっと優先すべきトレーニングはあるというところでしょうか。

ただひとつ付け加えておくと、バランス系トレーニングは純粋に楽しいし、息抜きにもなるので、ひとつアイテムを持っておいて損はないかと思います。

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