前回、『SUPとは?~ボードの構造編~』で、ボードの構造について、説明しました。
引き続き、今度は、用途に合わせたSUPの種類についてまとめてみようと思います。
何となくインフレータブルの〈普通の〉ボードを購入する前に、色々なボードがあること知っておいてください。
ボードの種類を知っておくメリット
あなたは、SUPで何をしたいですか?
波乗り、ツーリング、フィッシング、ヨガ...etc
多様な楽しみ方があるのも、SUPの魅力の1つです。
初めてのSUPを購入する際は、どうしても値段のことが気がかりですよね。
だからと言って、安価なボードを選んで本当に大丈夫ですか?
SUPには、何にでも使えるオールラウンドなボードがある一方で、何かに特化したボードもあります。
安いボードを買った後に、何かやりたいことができて買いなおすなら、最初からしっかりと考えて選んだ方がお得だと思いませんか?
前回の『SUPとは?~ボードの構造編~』では、私としてはハードボードをおすすめしましたが、多くの方はインフレータブルボードを選択することと思います。
それならば、せめて自分のやりたいことに合ったボードは何かを知り、納得のいくボードを選択しましょう。
逆に、やりたいことが決まっていない場合でも、ボードの種類を知ることで、思いもよらない遊び方に興味を持つことができるかもしれません。
あなたのSUPライフが豊かになることを願っています!
用途別ボードの種類
用途別のボードの種類には、主に次のようなものがあります。
- オールラウンド・・・何にでも使うことができるが、特定の用途に特化したボードには性能で劣る
- ツーリング・・・多くの荷物が積める!
- レース・・・とにかく速い!
- サーフィン・・・波乗りメインならこれ一択!
- ヨガ・・・安定感抜群!四角いものも多い
- フィッシング・・・釣り特有のアタッチメントが多い
- リバー(ホワイトウォーター)・・・川下り用でとにかく丈夫!フィンが引っ込む独特の設計
- その他特殊なもの
オールラウンド
一般的にスクールや体験などで使われているSUPが、このオールラウンドボードです。
全体的に丸く幅があり、安定性と扱いやすさのバランスが良いので、初心者でも楽しく乗ることができます。
大体、全長約10ft(3m)前後、全幅約30in(76cm)以上で、インフレータブルモデルも多く、比較的安価に売られています。
ちなみに、格安SUPもこのカテゴリーですが、品質に問題があることもあるので、自信を持っておすすめすることができません。
個人的には、5万円の新品格安SUPを買うなら、大手メーカー製型落ちを8万円で買います。
格安SUPについては、今後別記事にまとめるので、少しお待ちください。
さて、オールラウンドボードは何にでも使うことができるので、『キャンプのついでに』『海水浴のついでに』、などの使い方には非常にマッチします。
逆に、特定の用途に特化したボードには性能で劣ってしまう点がデメリットとなるので、乗り慣れてしまうと別のボードが欲しくなりやすいです。
また、それなりに運動経験のある方からすると、簡単すぎて物足りないので、これ1つで満足できないかもしれません。
ただ、いずれ2つ目のボードを買うと、最初に買ったオールラウンドボードはサブのボードとして気軽に使うことができるので、1つ持っておいて損はないと思います。
ちなみに、個人的に購入するとしたら、スターボードの14’0″x28″GENERATIONを選択します。(型落ちで安くならないかなぁ…)
https://sup.star-board.com/ja/paddle-board/hard-paddle-board/generation/
ツーリング
SUPは、ただ乗るだけでも陸とは違う景色が見えますが、少し漕げばさらに未知の体験をすることができます。
そのような遊び方は、ツーリングと言われ、最もポピュラーなものです。
例えば、『5km先の無人島に行く』などは、冒険感もある立派なツーリングですが、実は一般的なオールラウンドボードなどで十分楽しめます。
つまり、ツーリングは他のボードで事足りるがということなのですが、なぜかツーリング専用ボードもラインナップされています。では、ツーリング専用のボードは何が違うのでしょうか?
まず、ツーリングボードは、テントなどの荷物を持ち運びながら、長距離を旅することをコンセプトとして作られています。
そのため、効率よく進めるように長く(14ft(4.2m)程度)、安定性を高めるために太く(30in(76cm)程度)、たくさんの荷物を積むことができるスペースが確保されていて、体重+荷物の重さでも大丈夫なように、浮力が高くなっていることが多いです。
先程例に挙げた、『5km先の無人島に行く』だけではツーリングボードは必要ありませんが、『5km先の無人島でキャンプする』では、ツーリングボードの方が良いと思いますし、それが連泊なら、ツーリングボードでないと不可能かもしれません。
基本的に、リュックで背負えない荷物がある場合は、通常のボードで持ち運ぶことが困難なので、ツーリングボードの出番といえるでしょう。
ただし、そのようなツーリング専用のボードは特殊なため、あまりバリエーションがありません。
多くのメーカーでは、オールラウンドボードの少し大きいものに荷物をくくりつける紐を追加したものをツーリングモデルとして販売しているので、オールラウンドボードとして持っているのも良いかも知れません。
ちなみに、個人的には特に必要性を感じませんが、もし長期間のツーリングをするとしたら、スターボードの14’0″x30″Touringを選択します。
https://sup.star-board.com/ja/paddle-board/hard-paddle-board/touring/
レース
SUPは、近年ではただ乗って楽しむだけでなく、競技スポーツにもなりました。
中でも、レースは、波風のある無しに関わらず乗ることができるSUPの良さを生かし、どこでも開催できるので、近年、大会も競技人口も増えてきています。
基本的に幅が細い方が水の抵抗が少なく速いので、レースボードは他のボードと比べて細くなっています。その分不安定なので、最初は乗ること自体かなり難しいのですが、慣れたらほとんど落ちなくなるので問題ありません。
(26in(66cm)以下がほとんどで、18in(45cm)とかもあり、人によっては肩幅より細い)
また、レースカテゴリーごとにレギュレーションがあるため、それに合わせた規格になっています。(レースボードは細分化が進んできているので、また別記事で特集しようと思います)
慣れてしまえばオールラウンドボードのような使い方ができるようになるので、上級者にとってのオールラウンドボードといっても過言ではありません。
ただ、レースボードは他のボードと比べて高価なので、まずはメーカーやショップの試乗会で体験してみるのが良いでしょう。
ちなみに、個人的に購入するとしたら、404の14’0″x22″JUMPかKOKUAの14’0″x22″FLY PROを選択します。
https://404basecamp.com/collections/soap-series/products/404-jump-14-pro-carbon
https://www.kokuasup.com/flypro
サーフィン
SUPはサーフィンがルーツなので、波乗りに使うのは自然なことです。
サーフィンが競技になっているように、SUPサーフィンも競技になっており、大会が行われています。
SUPサーフィンは、普通のサーフィンと違い波に乗る前のパドリングの段階から立って乗ります。そのため、サーフボードと違い浮力が多くなるように設計されています。
また、パドルを使って加速できるので、通常のサーフィンでは乗ることができないような波にも乗ることができたり、波に乗った後、パドルを使ってクイックなターンができることが魅力です。
世界的なサーフィン選手が、SUPサーフィンにも出場していたりするので、非常に近い競技と言えるでしょう。
ただし、大きなボードで長いパドルを使うため、ぶつかった際のリスクが高く、SUP禁止となっているサーフポイントも多いので、注意しましょう。岸近くのサーフポイントがダメな場合は、漕いで行くことのできる少し沖のポイントなどを開拓してみるのも楽しいと思います。
SUPサーフィン用のボードは、サーフィン同様、ロングボードとショートボードがあります。
ロングボードは浮力が多いので、オールラウンドボードとしてレッスンなどでも使っていますが、ショートボードは波乗り専用です。波乗り以外もしたいのなら、ロングボードにしましょう。
なお、インフレータブルボードは浮力が多く厚みもあるため、レールが波に噛みにくくサーフィンには向いていません。(最近はサーフィン用のインフレータブルボードも出てきていますが、よっぽどの理由がなければハードボードを選択しましょう)
ちなみに、私の近くにはサーフポイントが無いのですが、もし購入するとしたら、NAISHの9’0″x29″HOKUA GTW CUSTOMを選択します。
https://www.naishsurfing.com/product/hokua-gtw/
ヨガ
あえて不安定なボードの上で行うSUPヨガは、よく雑誌やテレビなどで特集されているので、一般的に認知度が高いものです。
SUPヨガは、呼吸改善やただストレッチだけでなく、全身のバランスが改善されていくので、陸でのヨガとは一味違いとても気持ちの良いアクティビティといえます。
慣れてしまえば細いレースボードの上で逆立ちすることもできるので、自分1人でSUPヨガを行う場合は、特にヨガ用のSUPを購入する必要はないと思います。取り敢えずヨガにも使えるSUPが欲しいのなら、オールラウンドボードがあれば大丈夫です。
上記を踏まえた上で、ヨガ用のボードを購入する利点として、ボードのロッカー(反り)が小さい点が挙げられます。
通常のSUPは、波などに対応するため、やや反った形(ロッカーがあるといいます)になっていますが、ヨガ用は反りが小さい(もしくはフルフラット)ので、ボード全体を広く使いやすいものが多いです。
また、真四角のものや連結できるものもあり、複数人でヨガをする場合は、専用のボードがあった方がやりやすいだけでなく、気分も上がるのでおすすめです。
ただし、風や波のあるところで行う場合すぐに流されるので、ある程度漕ぐ力も必要な点には、注意してください。
ちなみに、個人的にはヨガをしてませんが、もし購入するなら、FANATICのFIT PLATFORMが面白いですね。
https://www.fanatic.com/sup/inflatable-boards/fit/fit-platform
フィッシング
水の上を自由に行けるSUP。となれば釣りに使いたくなりますよね。
誰も入ったことがないポイントで自由に釣りができるなんて、釣り人からすると楽しくて仕方ないと思います。
フィッシング用に求められるのは、クーラーボックスなどを詰める積載能力と安定感ですが、海外の大手メーカーからはフィッシング用のボードは売り出されていません。
一度体験してみるとわかりますが、正直なところSUPは釣りに向いていません。
池のバス釣りなら大丈夫ですが、海なんて最悪で、パドルを置いて数回キャストしているうちにかなり流されてしまいます。
そのたびに屈んでロッドとパドルを入れ替えて漕ぐ、この繰り返しで、全然釣りに集中できません。
流されながら広範囲を探るということもできますが、フィッシング用として売られているSUPは、短く太いボードが多いので、長距離を漕いで進むことに向いていません。
そんなSUPで流された分だけ流れに逆らって漕げますか?
なので、海での使用を考えた場合、『乗りながら釣る』のではなく、歩いて行けないポイントに行くための『移動手段』として考えた方が良いと思います。
あくまで釣りは地に足をつけて行うということです。
ということで、オールラウンドボードなどで、近くの無人島まで行って釣りをするのがベストだと私は考えています。
どうしても洋上で釣りがしたい場合は、利便性と万が一の場合の推進力を考慮して、足漕ぎカヤックにすることをおすすめします。
足漕ぎカヤックは高いですが、ストレスを感じながらせわしなく釣りをするより、のんびりと自分のペースで釣りをする方が良いと思いませんか。
私なら、ホビーカヤックにして魚探をつけます。
http://www.marinebox.co.jp/kayakfishing/shopping/
リバー(ホワイトウォーター)
ラフティングのような急流などで行う川下り用のSUPです。
ラフティングみたいな大きな船ですら大変なのに、そこをSUPで行くなんて、超エキサイティングですよね!
リバーSUPは、岩に激突することもあるので、衝撃を吸収できるインフレータブルボードがメインになります。
そのため、一般的なオールラウンドボードと似たような見た目をしていますが、荒波を乗り越えるようにきついロッカー(反り)がついていたり、岩に当たっても壊れにくい引っ込むフィンになっているのが特徴です。
長距離を下るイベントもありますが、同じ瀬でテクニックを競う遊び方もよくするので、スノーボードやスケートボードの楽しさと近いかもしれません。
ただし、頭を保護するヘルメットや、リーシュを切り離せるフローティングベストなど、安全に遊ぶためにはいろいろと揃えないといけないので、まずはリバーSUPをしているショップなどで教えてもらった方が良いでしょう。
また、ヘルメットをかぶっていても、頭を岩で打ったりすると脳震盪で動けなくなり、溺れて死ぬこともあるので、原則として1人でしないようにしましょう。
ちなみに、私はリバーSUPをしたことがありませんが、興味があるので、いいポイントや仲間が見つかれば、HALAのAtchaに乗りたいですね。
https://aandf.co.jp/brands/hala
その他特殊なもの
さて、色々とボードの種類を紹介してきましたが、実はまだまだ知られざるボードがあります。
- 2人乗りのタンデムボード
- 大人数で乗るチームボード
- 透明で水の中が見えるボード
- 水中翼で空中に浮くFOILボード
- 風と潮流に乗って島から島へ大海原を渡るダウンウィンドボード
これからも、技術の進歩とともに、新たなSUPが生まれると思うと、楽しみですね!
結論
SUPは高価なので、自分のしたいことがハッキリと決まっていればそれにあったボードを、特に決まっていなければ2つ目のボードを購入した後にサブで使い回せるオールラウンドボードを選択しましょう。