SUPのレースボードに乗るようになってから、より速く効率的に漕ぐことばかり考えている管理人のバクです。
SUPを速く漕ぐためには、相応の筋力とか体力とかパドルの使い方などなど、様々な要素が必要であることは当然ですが、一番悩んでいるのが『キャッチの感覚』です。未だにわかりません。
速い=ストローク距離×ストロークテンポ(ピッチ)なのですが、そのためには疲れにくい大きな筋肉を使う必要があるので、『腕で漕ぐな』と言われるんですよね。さらに『体重を乗せる』ことができれば筋力以上のエネルギーをパドルに伝えることができる訳です。もし、体重の位置エネルギーをふんだんに使って漕ぐことができれば、体が倒れ過ぎないように、バランスよく支えるだけで良いかも知れません。
などと、漕ぎ方について考えているのですが、そんな折、とある動画を見つけました。
世界トップレベルのパドラー、ダニー・チン選手の漕ぎを横から撮影したものです。後ろの選手と比べて重心が前寄りだと思いませんか?ほとんどお尻が脚の真上か前にあるのは異常ですが...。これだけ前傾していると体は前につんのめる(こけそうになる)ので、自然とパドルに体重を乗せて支えるようになりそうです。
そして、これに似た体の使い方を見たことがあります。その名も、『古武術式・縮地』。
古武術式・縮地は、古武術で扱う歩法の一つです。通常、特に走り始めは地面を蹴り込んだ反作用で体を加速させようとしますが、縮地では前に倒れ込もうとする体を脚を出して支えることで加速させます。重心を前にし敢えて不安定にすることで、予備動作(踏み込み)を無くすことができるので、武術的には必要な技術なのでしょう。陸上短距離のクラウチングスタートも、この体の使い方と似ていると思います。
そして、先ほどの漕ぎも技術の方向性としては、非常に似ているものだと感じました。
つまり、『①重心を前にして倒れ込もうとする→②倒れ込むエネルギーをパドルで支える→③加速する』ということで、②が脚かパドルかの違いなのではないでしょうか。試しに漕ぎのイメージで、壁に向かって倒れ込む→手で支える、とやってみると、そこそこ倒さないと体重が手に乗らないことが分かりました。そして、そこそこ倒れ込んだりそれを戻すためには、かなり体幹部の筋肉を駆使して姿勢を維持しなければいけません。アブローラーをやっている感覚です。
この不安定な動作を不安定なSUPの上で行うためには、動画のように膝を深く曲げ、さらに足指でボードを掴むようにする必要があります。そもそも、かなり体を鍛えなければできないフォームだと思います。
特に必要そうな筋肉としては、腹部(腹直筋、腹斜筋、腸腰筋)と背部(広背筋下部、脊柱起立筋、腰方形筋)、そして脚部(ハムストリング、下腿三頭筋)のあたりでしょうか。
ダニー・チン選手のガチガチの体もうなずけますね。
道のりは遠いですが、あの速さと何より格好いいフォームを手に入れるために、これからはこの漕ぎをマスターできるように練習してみようと思います。何か発見があれば、ブログで報告させていただきます。