前回(ノーズで水を切るか、乗り越えるか。)の続き。
前回、"速いボード"はノーズで水を切るボード≒フラットウォーターボードだと書きましたが、だったらオールウォーターボードでも似たようなことができるんじゃないか?というのが今回の話です。
要はオールウォーターボードのノーズで水を切ろうとすると、ロッカーで反っている分、ノーズ荷重で乗ったほうが良いのでは?ということです。ちなみに私はここ1か月くらいノーズ荷重で乗って、巡航速度を㌔1分くらい速くすることができました。私のように失速しまくっている人がいたら試してみてください。
勿論、ボードによって特性も乗り方も変わります。あくまで私が404のモンスター2018に乗っている実体験としての話になるのであしからず。ボードによっては真逆の結果になるかもしれません。(404モンスターの記事はこちら→404 モンスターの乗り心地)
ハイボリュームなボードで前荷重にしたら巡航速度が速くなった件
さて、私が乗っているボード、404のモンスターはかなり浮力が高めに設定されています。大体290㍑くらい。軽量な人には浮力過多です。
で、そんな高い浮力をどう稼いでいるかというと、全体の厚みです。ノーズとテール以外は直方体のようになっていて、同じ404で人気のLTDと比べると、1.5倍くらいの厚みがあるんじゃないかと思います。
ダグアウトでもないのにレールの厚みがあるので、どうしても横波を受けてしまうため、購入後1年くらいは取手のあるセンター〜やや後ろ寄りに乗り、回頭性を上げてボードコントロールしやすくしていました。
しかしこれだと幾ら漕いでも巡航スピードが㌔8分台にしかならず、頑張って漕いでもただしんどいだけ。漕ぎ方を変えたりピッチを上げたりと工夫をしてみたのですが、特に改善されず。
パワーもスキルもない素人なので、単純に漕ぎ力不足だといわれるとそのとおりなのですが、それにしても1漕ぎでボードが伸びない。グライド感?なにそれ美味しいの?状態です。
そんな折、kokuaからflyproが発売され、金子ケニー氏のボード解説を見たことで新たな着眼点が芽生えました。kokuaflyproは、どうやらテール形状に並々ならぬこだわりが詰まっている様子。曰く、水離れが良いのでテール部の抵抗が少なく、漕ぎ終わりから次のキャッチまでの瞬間(パドルが水に触れていないとき)に失速し辛いとのこと。
今までノーズが水に刺さったらダメだとばかり思っていた私としては衝撃で、もしかしたら少しノーズを突っ込んででもテールが水に引っ張られないようにした方が速いんじゃないかと考え始めました。
とはえいfryproを手にするほどの余裕は無いので、404モンスターで何とかできないか考えてみることに。
となれば、手っ取り早いのはノーズ荷重で乗ることです。これでいつもよりテールを浮かし、テール全体の接水面を少なくすることでしょう。
1か月前にノーズ荷重乗りを始めた当初でも大体㌔7分30秒で巡航できましたが、それから色々慣らした今は㌔7分16秒です。以前のテール荷重乗りで㌔8分20秒くらいだったことを思えば、明らかに速くなっている。漕いだ感覚としては、想定通り漕ぎ終わりからの減速感(水に捕まっている感じ)がなく、ピッチを80くらいに保てられれば速度維持が楽になりました。
やってみて分かったことは、ノーズは尖っているので、ノーズが突き抜けられないような厚さの水に突き刺さらない限り、大して減速しないということです。
前荷重の問題点
ここまでの記事では前乗りの有用性ばかり示してきましたが、当然デメリットもあります。
デメリットとして一番実感したのは、不安定になるところです。
ハードボードは、大体の場合スタンディングエリアからテールのボトムにコンケーブがあったりレールエッジが立っていたりと安定性を確保する設計がされています。
反対にノーズ側は前から受ける水の抵抗を少なくするため接水する面積も小さく丸い形状になっており、不安定です。
中央から後ろの安定するところを使わず、不安定なノーズに荷重するので、トータルの安定性は火を見るよりも明らかです。具体的には、エッジが立っているボードでさえもコロコロとロールする感じがありました。
まあ、慣れると気にならなくなりますが、どうしょうもないのがノーズが突き抜けられない大波が来たときです。水に刺さったノーズが斜めに浮き上がろうとしてバランスを大きく崩してしまうことがあります。
咄嗟にステップバックできれば良いのですが、初級者の私はフラットコンディションでしかできません。荒れた水面だとステップバックするタイミングを計っている間に波がきてしまいます。焦って無理にステップバックすると、それ自体でバランスを崩してしまうこともありますし。どう考えてスキル不足ですが。
[結論]色々試して自分のボードにあった乗り方を探してみては?
色々書きましたが、結局のところボード特性に合わせて乗り方を最適化していく必要があります。
ハイボリュームといったとて、体重によってその基準は変わるわけです。
とはいえ、海外メーカーのボードは、アジア人よりも骨格的に大柄な人たちに合わせて設計されていますので、結果的に日本人としてはハイボリュームなボードに乗る傾向が多いと思います。
であれば、乗り方を変えることで新たな発見があるかもしれません。
さらに突き詰めていけば、どのボードでどのようなコンディションなら前乗りor後乗りするのかといった戦略も出てきます。ドラフティングで引き波に乗りながら楽するにはどう乗るかとか、隙を見てスプリントを仕掛けて抜け出すときはどう乗るかとか。
まだまだ勉強もスキルも不足しているので、上級者の方からすれば当たり前じゃん、なんて言われるかもしれませんが、自分で考えてトライ&エラーを繰り返しながら成長できるのは、中々楽しいので、スクールを受けずに研究していくのも楽しいものです。