SUPシーズンも始まり各地てイベントも開催されるようになりましたね。毎週末遠征という方もいるのでしょう。羨ましいです。
かくいう私は仕事も家庭もあるので、乗れる日は乗る、行けるイベントは行く感じで、マイペースに楽しんでいます。が、週末に乗れないと次の週末までお預けなので、約2週間のプチブランクに陥るはめに。これは良くない。下手になるだけでなくパドルレスでストレスもマッハです。
それを解消しようと、今は自宅の裏庭にパドルトレーニングマシーンを自作して、疑似パドリングで汗を流しています。これで精神衛生も保たれます。
そうやって陸でパドリングをしてみると、足元がしっかりしているために普段とは違う重心を試せるので、(自分の中では)新たな発見があることも。今回はその中でも、パドルを立てるということについて気づいたことをメモしておこうと思います。
ところでSUPのパドリングにおいて基本とは何でしょうか?
下の腕を伸ばすこと?ブレード全体を水に入れること?できるだけ前でキャッチすること?体重を乗せること?
もちろんそれらも重要なポイントですが、今の私はパドルを立てることが最も重要だと考えています。
そんなこと当然意識しているし実践している、という方も多いと思います。ですが問題は、本当に立てられているのか?ということです。レースに出るようなガチ勢なら当然できていそうなことなのに、レース動画などを見ると結構(左右方向に)斜めになっていますよね。
これは、自分の意識では立てているつもりでも体をそのとおりには動かせていない、もしくは、レースなどで必死に漕いでいる状況ではフォームが崩れてしまう、のどちらかでしょう。もしくは両方かも。あ、もちろん方向修正などで斜めにしたりスウィープするような漕ぎ方をするときはありますので、巡行の時のパドリングだと思ってください。
まあ、力尽きてフォームが崩れていくというのは体力の問題なので置いておくとして、もう一つの意識したとおりに動かせているか?という部分については、SUP以外でも全てのスポーツで永遠の悩みですね。ちなみに、意識したとおりに体を動かす能力をコンディショニング能力と呼び、この能力があることで、見様見真似でも走ったり跳んだりボールを投げたりできますし、さらにはバットやラケットを思い通りに振るなど、体の延長となる道具を体のように正確に動かすことができたりします。この能力が高い人を、一般的には運動神経が良いと言うのでしょう。逆に運動神経が悪い人は、走るフォームやボールの投げ方がぎこちなかったりしますが、この能力が低く意識と体の動きに乖離があるのだと思います。
さて、このコンディショニング能力がある程度あれば、後は正しいイメージを持ってパドリングするだけでよいわけですね。
そこで重要なのが、最終的にどのようパドリングをイメージするかです。それには様々な要素が絡んできますが、今回はその中でもパドルを立てるとはどのような状態かを整理してみます。
理想のパドルの立て方
結論からいうと、重力方向にまっすぐ、つまり地球に対して垂直であることだと私は考えています。
これは水面に対して垂直であったり、ボードのデッキに対して垂直ということではありません。地球に対してです。
レジェンドパドラーのダニー・チンのパドリングがわかりやすいです。見てのとおりほぼ垂直になっています。(上画像の一番手前の選手)
これがきちんとできると、パドルにかけた力が全てパドルブレードに伝わるので、重いキャッチとなり、体重をかけることができるようになります。逆に左右に傾くと、回転しようとする力が加わるだけでなく、その分パドルに伝わる力が減るので、効率的に漕げなくなります。つまり疲れるのに進まない状況です。
高校程度の分力を確認してみたものが、上の図です。赤いベクトルが重力方向への力です。その力を一定としてパドルだけ10度と30度に傾けてみました。すると力の分解が起きるので、緑のベクトルのように傾く方向に力がかかるので、腕の力でしっかりと保持しなければパドルがブレブレになってしまいます。上手な人がいう手の力はいらないなどという表現は、そういうことなのではないでしょうか。
また、パドルにかかるはずの力(青いベクトル)が短くなるのですが、当然傾きが大きければ大きい程このパワーロスが大きくなるので、いくら力を入れても進まないのでしょう。
実際には、これに前後方向が加わって3次元になりますし、波や風の影響、ボードの傾きなどがあるので、この図のように単純ではありませんが、力の伝わり方は分かると思います。
まあ、筋肉や関節の柔軟性は人それぞれなので、垂直にすることができない人もいるかもしれませんが、できるだけ立てることが有効ではあるわけです。
私の陸トレでは重りをパドルで引っ張るようにしているので、水の上よりもゆっくりとストロークができるのですが、きちんとパドルが立つと体重を乗せられるし、左右に傾くと途端にパドルが引っ張られ保持が大変になります。今回の記事はそこでの気づきでした。
ちなみに、パドルの前方向への傾きは、パドルブレードに角度がついているおかげである程度許容されます。そうすると、パドルブレードに深いコンケーブがついているブラックプロジェクトのFlow Xとか、クイックブレードのV Driveは、キャッチがしやすい=左右方向の傾きを許容してくれるのかもしれませんね。まあそうであったとしても垂直に立てなければ体重を乗せられないのですが…。
垂直を試す
ここまでの話を前提として、じゃあ垂直にしたいけど垂直になっているか分からない問題がでてきます。
陸で鏡でもみれば垂直かどうかは分かりますが、実際の漕ぐときはフォーム自体が違うので参考にできないような気がしますし。
そこで今試そうとしているのが、どちらか片方の手だけでパドルを持つことです。
パドリングの際にTバーを持つ上の手かシャフトを持つ下の手のどちらかを離す。完全に離すのではなく少し浮かすだけで、キャッチの瞬間に握るようにします。どちらにしても、パドルが重力方向に真っすぐ立つと思うので、自然と真っすぐを試せるかもという感じです。
上の手だけだと体から近い位置でのキャッチになり、下の手だけだとより遠くでキャッチできる分、Tバーも遠くなるので、パドルに飛びつくような感じになるのでしょうか?この飛びつく感じは、以前の記事「古武術式『縮地』でSUPを漕ぐ」で書いたようにわざと崩した重心をパドルに乗せるイメージに近いような気がしますね。あ、そういえば金子ケニーさんも、キャッチのときにバランスを崩すようなことを動画で言っていたので、あながち間違いではなかったようです。
また結果がでましたら報告します。それでは。